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田中亨
甘いものは別腹
「甘いものは別腹」と、よく言われます。食事が終わって、十分に満腹であっても、デザートのケーキなどをペロリといけてしまうアレです。特に女性は、よくそういう話を聞きますね。別腹つったって、人間に胃はひとつしかないわけだし、物理的にありえないだろ。要するに気分的なことなんじゃねーの?と思っていましたが、まんざらそうでもないようです。

胃に食べ物が充満すると、血糖値の上昇などによって指令を受けた視床下部は、満腹中枢から「もうお腹いっぱい、もう食べられない」という信号を出します。この働きによって人間は過食から身を守ることができるわけです。

さて、ここでケーキなどの甘いものを見ると、脳内にはβ-エンドルフィンが出てきます。β-エンドルフィンは"脳内麻薬"とも呼ばれる神経伝達物質で、モルヒネの約6.5倍もの鎮痛作用があるそうです。またβ-エンドルフィンは、幸せな気分やウキウキした気分など、いわゆる多幸感をもたらす作用があり、マラソン中に気分が高揚する"ランナーズハイ"や、セックスの快感もβ-エンドルフィンが原因だと言われています。

β-エンドルフィンの増加はドーパミンの分泌を促します。ドーパミンは、運動調節やホルモン調節、意欲や学習などに関わる神経伝達物質です。ドーパミンはさらにオレキシンを分泌させます。オレキシンは脳内の摂食中枢に局在する物質で、摂食量を増加させる働きをします。その結果、脳は「もっと食べたい」「食べろ」という指令を発して、胃の動きを活発にするのです。胃は消化の活動を高め、食べ物を小腸に送り込み、胃の内部には新たなスペースが生まれます。そう、この新たなスペースこそが「別腹」なのです。

別腹のキッカケとなるβ-エンドルフィンは、他の味に比べて甘いものを見たときに多く分泌されるそうです。さらに、β-エンドルフィンは男性よりも女性の方が出やすいこともわかっています。ラットに砂糖水を好きなだけ飲ませるという実験では、メスはオスの約2倍もの量を飲んだそうです。世の女性がスイーツに目がないのは、β-エンドルフィンのせいだったんですね。同じ量のβ-エンドルフィンが分泌されたとき、女性の方がより感受性が高く、より感激して、より美味しいと感じます。これは、来るべき妊娠・出産に備えて皮下脂肪を蓄積しようとするためでしょう。

人間のカラダは、実によくできていますね。


ネタ元:NHK「解体新ショー」, Wikipedia
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